ロボットの恋考


 

 

恋考といいながら、あまり恋について考察していません。







人間を模したモノを作る……。
人間が人間を造り出すという理想の元に、開発者たちは人型のロボットを作ります。
単純な箱型だったり、機能のみを追求した鉄の塊から始まり、ものの数十年から数年、私たち一般人の見える場所に私たちと同じ形をしたロボットが現れるようになりました。
それと同時進行で、人間の動きに似せた動きが、人間の声に似せた音声が研究され、一部実用化されています。

そして、もちろん、人間の心に似せた「知能」も。


ロボットは人間と同じ心を持ち得るのか。。このテーマに対しては、後々考察したいと思いますので、今回は「恋」という部分にピントを合わせていきます。

「ロボットが恋をするのか」と「ロボットは心を持ち得るのか」は正直かなり同義に近いかと思います。
なので、今回はあえて「ロボットは恋をさせてもらえるのか」でお話させていただきたいと思います。


たとえば、人間にそっくりのロボット、本当にDWNみたいなロボットが作られている世界だとしましょう。
あなたが大好きなキャラクターそっくりなロボットがいるとします。
Fが好きな人はFを、Mがすきな人はMを思い浮かべて下さい。
その「彼」は、あなたが想像する通りの性格で、貴方にだけ笑顔を見せてくれます。
そのロボットのこと、好きになりますよね?そのロボットも、あなたの事を好きだと思っています。
これで、カップルは成立。
幸せな生活を送れるかもしれません。


でも、これって人間という種族に対して大きくマイナスになることではないでしょうか。

人間同士が好きになる確率が減ってしまうのです。

DWNみたいなロボットが好きな人はほんの一部だから大丈夫なのではないか、と思うかもしれません。
しかし、ヒューマノイドというものは人間が好き勝手作った存在です。もちろん、見た目も中身を好きなように作れます。
エヴ●の綾●レイが好きな人は、彼女の見た目と性格をもったヒューマノイドを好きになるかもしれませんよね。
そうでなければ、自分の理想の相手をヒューマノイドとして具体化するとか、好きだけど叶わない恋の対象のヒューマノイドを作るとか……。
全ての人類に「好きな相手」「理想の相手」を具現化できる力が与えられるわけです。
人間同士が恋をし、愛を育む確率や可能性は、がくんと減るんじゃないでしょうか。
ロボットも人間と同じように自由恋愛ができるとしても、人間しかいなかったころと比べれば確率は減るでしょう。
 
たとえばクローン技術や人工生殖技術が発達して、男女問わず一人でも子供が作れるようになったとしましょう。
それならば、ロボットのパパ、人間のママ、人間の子供という家族が可能かもしれません。
ですが、それに関連して山ほどの倫理問題が上がってきます。人間の生殖に関する倫理から、宗教から、もしかしたら「ロボットの人権」に関連して「生まれた子が夫ロボットの特徴を全く受け継がないのは不公平であり、ロボット人権に関する倫理に反する」とかいうのが出てくるかも。
そもそも、生殖行為自体が種の保存とより良い遺伝子の選別なのだから、こういうのは生物として本末転倒ですよね。


本当に「心」が造れる段階に至っていないから、今はそんな倫理などほとんど話題に上らないまま、ロボットやAIの開発がおこなわれています。
しかし、ひとたび開発可能だと言う見通しが立ったら……??




ロボットは、今後能力的に恋愛出来るようになるかもしれません。
しかし、もしそうなった時。
今度は、開発した人間が、ロボットが恋愛することを許すのでしょうか?


ロボットに本当に人間の心を持たせるのなら、本当に恋愛をさせるのなら、ロボットに人間と同じ権利や義務が必要になるかと思います。
そうしたら、上記のような問題がわんさかでてくるんじゃないでしょうか。
ちょっぴり考えただけで、生殖に関する問題が出てまいりました。もう少し考えれば、もっと出てくるかもしれません。問題は山積み。

全く権利が与えられないのなら、それこそ奴隷と同じ訳で、わざわざロボットに心を与える必要はありませんし。
何か問題があるからと言って、ロボットの人格や心に手を加えて制限を持たせたら、それもわざわざロボットに心を与える必要はなくなってしまいます。
「人間が都合のいいロボットの人格」は、本当の「心」じゃないのですから。

 
ロボットに心が出来た時。
恋するだけの力を持った時。
全てがうまくいくような解決法があったら、それは本当に素敵なことじゃないでしょうか。



 



_____________________________________________________________________________________

 
ロボットの恋について

日記ログより「ロボットの恋考」。
確か今までの考察シリーズとは若干毛色が違います。



 

感想・誤植指摘・苦情等はこちらから(拍手)





diary log

2008.12.06 仮想と妄想の狭間。クロ.. c

inserted by FC2 system